近年、再び注目を集めているレトロゲーム。
往年の名作を手軽に楽しめる携帯ゲーム機は多くのゲームファンにとって魅力的な存在です。
今回ご紹介するのは、Anbernic社から登場した「RG35XXSP」。その名の通り、往年の名機ゲームボーイアドバンスSP(GBASP)を彷彿とさせる折りたたみ式デザインが特徴の手のひらサイズの携帯ゲーム機です。
懐かしさを感じさせる外観だけでなく、最新のエミュレーション技術を搭載し、多様なレトロゲームプラットフォームに対応しています。
本記事では、RG35XXSPの魅力と実力を徹底的にレビューしていきます。

Anbernic RG35XXSPとは?

Anbernic社のRG35XXSPは、任天堂のゲームボーイアドバンスSP(GBA SP)を彷彿とさせる折りたたみ式デザインを採用したレトロゲーム機です。
筐体素材には丈夫なABS樹脂が使われており、カラーもシルバーやグレーのほか、ブラック・ブルー・レッド・グリーン・ホワイトの半透明カラーがラインナップされています。
本体サイズは折りたたみ時で約89×85×27mm、重量約192gとGBA SPより一回り大きく(GBA SPは約84×82×24mm、142g)、厚みと重さが増しています。
それでも公式のGBA SP用ケースに収まる程度のサイズであり、画面保護と携帯性に優れたデザインです。
Anbernic RG35XXSPのデザインと外観

外観上の大きな特徴は、操作ボタン類の拡充です。GBA SPでは2つだったフロントのアクションボタンが4つに増設され、背面にはL/Rボタンに加えてL2/R2ボタンも配置されています。

十字キーや各ボタンはクリック感のあるタクトスイッチで操作感は快適という印象がありますが、中には押下音が大きいと感じる方もいるかもしれません。

電源は従来のスライドスイッチではなく電源ボタンに変更され、リセットボタンも別途搭載されています。

音量調整もアナログのスライダーではなくデュアルボタン式(音量+/-)となりました。


折りたたみ構造にも工夫が凝らされており、上蓋と下蓋に強力なマグネットを内蔵して閉じたときにしっかりロックされる仕組みです。
さらにホールセンサーによる自動スリープ/ウェイク機能を備え、蓋の開閉に連動してスリープ状態に入ったり復帰したりします。
ヒンジ(折り目)部分には金属製シャフトが使われ、開閉角度は約155度と約190度の二段階で固定可能とされています(GBA SP同様に途中で支える機構)。
入出力インターフェース

入出力インターフェースも現代的に強化されています。上部には充電用のUSB Type-Cポートと映像出力用のmini-HDMI端子が配置され、テレビなどに接続して大画面表示することも可能です。

下部(前面側)にはオリジナルのカートリッジスロットの位置にデュアルMicroSDカードスロット(TF1/TF2)があり、ゲームデータの追加は2つ目のカードを挿すだけで行えます。
さらに3.5mmイヤホンジャックも備えており、GBA SPで必要だった専用アダプタ無しでヘッドホンが利用できます。
スピーカーはモノラル1基ですが、高音質なスピーカーが内蔵されており、音量も十分確保されています。
性能・スペック
項目 | 仕様・内容 |
---|---|
プロセッサ (SoC) | Allwinner H700 クアッドコア ARM Cortex-A53(最大1.5GHz) |
GPU | Mali-G31 MP2 デュアルコア GPU |
RAM | 1GB LPDDR4 |
ストレージ | microSDカードスロット ×2(付属カード例:64GB)※最大512GBまで対応 |
ディスプレイ | 3.5インチ IPS液晶(フル視野角)、解像度 640×480(アスペクト比4:3) |
バッテリー | 3,300mAh リチウムポリマー電池(公称連続約8時間稼働) |
OS | Linuxベース独自OS (64ビット)※日本語表示対応 |
無線通信 | Wi-Fi 5 (2.4/5GHz 802.11a/b/g/n/ac) & Bluetooth 4.2 |
その他機能 | 振動機能、オンライン対戦(Wi-Fi経由)、画面の自動回転設定、外部コントローラ接続(2.4GHz/Bluetooth/USB有線) |
入出力端子 | USB-C(給電・データ), mini-HDMI(映像出力), イヤホンジャック(3.5mm), デュアルMicroSDスロット |
本体サイズ・重量 | 約89×85×27mm(折りたたみ時)、重量約192g |
プロセッサ (SoC)
CPUのAllwinner H700は2021年頃リリースの低消費電力SoCで、コストと性能のバランスに優れたチップです。搭載メモリ1GBもレトロゲーム用途では十分で、エミュレーターや軽量Linux OSの動作に支障はありません。
ディスプレイ
ディスプレイは解像度640×480のため、4:3のレトロゲーム画面をオリジナルに近いドットバイドット表示でき、発色や視野角・コントラストも優秀なIPSパネルが採用されています。
実際、任天堂純正のGBA SP後期型(AGS-101)の高輝度LCDと比較しても「色彩・明るさ・視野角の点で凌駕している」と評されるほど高品質です。
OS
標準OSはLinuxベースのカスタムUIで、メニュー画面から各種エミュレータを起動してゲームを遊べます。初期状態で英語や日本語など多言語に対応しており、UI自体はシンプルながら初心者にも概ね分かりやすい設計です。
価格とコストパフォーマンス

RG35XXSPは低価格帯の製品として位置付けられ、公式直販サイトでの発売時価格は64.99ドルに設定されていました。
現在は頻繁にセールが行われており、2024年末~2025年時点では40~50ドル前後(約5千~7千円)のセール価格で入手できることもあります。
日本国内での入手は、公式のAnbernic日本語サイトやAmazonマーケットプレイス、直輸入通販(中華系EC)などがあります。Amazon.co.jpではサードパーティ経由で1万円前後で販売されている例が見られ、メルカリなど中古市場でもほぼ同程度の価格帯で取引されています。
この価格帯に対するコストパフォーマンス評価は総じて高いです。
実際、同程度の性能を持つ他社のレトロゲーム機(例:Retroid Pocket Flipは約150ドル)や、任天堂純正の中古GBA SP(バックライト改造モデルは数万円する場合もある)と比べても、1万円弱で多彩なレトロゲームが楽しめるRG35XXSPの価値は大きいといえます。
プレイできるゲーム
RG35XXSPは30種類以上のエミュレータに対応しており、1970~90年代のレトロゲームから2000年代前半までの幅広いタイトルをプレイできます。
対応プレットフォーム例
- ファミリーコンピュータ
- スーパーファミコン
- ゲームボーイ & ゲームボーイカラー
- ゲームボーイアドバンス
- メガドライブ
- ネオジオ
- プレイステーション(PS1)
アーケードゲーム用のエミュレータや、ワンダースワン/ゲームギアといった携帯機、さらにPICO-8仮想ゲーム機やDoomなどのオープンソース移植ゲームにも対応しており、ユーザー自身で対応ROMやデータを用意すれば追加のゲームも自由に楽しめます。
エミュレーション性能
肝心のエミュレーション性能ですが、8ビット/16ビット機や初代プPlayStation程度までのレトロゲームは概ね快適に動作します。
例えばスーパーファミコンの作品(『スーパーマリオワールド』『ストリートファイターII』等)やゲームボーイアドバンスの作品(『ポケットモンスター ルビー・サファイア』『MOTHER3』等)、PS1の作品(『ファイナルファンタジーVII』『クラッシュ・バンディクー』等)であればオリジナル機に遜色ないスムーズなプレイが可能です。
特にゲームボーイ~GBA系のタイトルは本機のデザインや画面比率ともマッチし、ゲームボーイ系のタイトルが最高に映えます。
一方で、Nintendo 64やドリームキャスト、PlayStation Portable (PSP) といったプラットフォームになると動作が重くなる場合があります。
ニンテンドーDSについてはエミュレータが存在し起動は可能ですが、上下二画面を1画面に縮小表示する特殊なプレイになり、タッチ操作も使えないため実用性は低いでしょう。
RG35XXSPで実用的にプレイできるのは概ね初代PlayStation(5世代機)までと考えるのが無難です。とはいえ、それ以前のレトロゲームに関しては広範囲に対応しているため、数千本規模のレトロゲームライブラリを持ち歩いて楽しめるデバイスといえます。
RG35XXSPの良い点と悪い点
RG35XXSPの良い点
- 折りたたみ携帯機としての魅力的デザイン
- 堅実な作りと操作性の向上
- 高品質なディスプレイ
- エミュレーション性能と互換性
- バッテリー持続時間
- 低価格でコストパフォーマンス良好
- 追加機能・拡張性
Anbernic RG35XXSPは、GBA SPを彷彿とさせる懐かしさ溢れる折りたたみデザインが特徴で、画面保護と携帯性に優れているだけでなく、豊富なカラーバリエーションも魅力です。
4つのアクションボタンやL2/R2ボタンを搭載し、クリック感のある快適な操作性を実現しており、レトロゲームを遊ぶ際のボタン配置が非常に工夫されています。
IPS液晶を採用したディスプレイは発色や視野角が良好で、レトロゲームを鮮明に映し出し、特にGBAやファミコン、PS1世代のゲームが快適にプレイできる点が評価されています。
さらに、バッテリーは最大8時間稼働し、長時間の外出先でも安心して使える持久力が備わっています。
価格が50ドル前後と非常に手頃でありながら、Wi-Fi対戦やHDMI出力、Bluetoothコントローラ接続といった拡張性も備えており、レトロゲーム好きには非常にコストパフォーマンスが高い製品として人気を集めています。
RG35XXSPの悪い点
- アナログスティック非搭載
- ボタンのクリック音と固さ
- モノラルスピーカー
- 初期OSの完成度
- 高性能を求める用途には不向き
- サイズ・エルゴノミクスの課題
- 充電関連の注意
Anbernic RG35XXSPの悪い点としてまず挙げられるのは、アナログスティックが非搭載であるため、N64やPSPなどスティック操作が前提となるゲームでは快適にプレイできない点です。
また、操作ボタンがクリック感のあるタイプであるため、押下時のカチカチという音が大きく、特に静かな環境では気になるという声が多くあります。
さらに、モノラルスピーカーのみを搭載しているため、音質や迫力に物足りなさを感じる場合があり、ステレオ再生を求めるユーザーにはヘッドホンが必須です。
標準OSには安定性に課題があり、初期状態ではフリーズやスリープ復帰の不具合が報告されているほか、カスタムOSの導入が事実上必須という意見もあります。
低価格機であるためSoC性能が高くないため、N64やPSPの一部3Dゲームではフレームレートが低下しがちで、現行機や高解像度ゲームには対応しきれない点もデメリットです。
また、GBA SPと比べてサイズが一回り大きく、持ちづらさやボタンの固さが長時間プレイ時にはストレスとなるケースがあり、充電器の選択にも注意が必要で、急速充電器を使用するとバッテリー膨張のリスクがある点も注意が必要です。
まとめ
Anbernic RG35XXSPについてデザインから性能などをレビューしてみました。
折りたたみ型の携帯エミュ機として初の試みとなった本機は、そのノスタルジックな魅力と実用性のバランスで多くのユーザーを楽しませているようです。
GBA SPの思い出を蘇らせつつ、当時遊べなかった他ハードの名作をまとめて楽しめる本機は、まさに「レトロゲーマーのためのタイムマシン」的な存在と言えるでしょう。
今後もファームウェアのアップデートやコミュニティの盛り上がりによって、さらに快適で楽しいレトロゲーム体験が提供されることを期待したいです。
RG35XXSPの購入は、主にオンラインストアで購入することができます。公式サイトの他、Amazon、AliExpress、Banggoodなどの大手ECサイトで取り扱われています。
公式サイト
