今回紹介するのはPowkiddy社から登場した携帯型エミュレーター「Powkiddy X55」。5.5インチのHD画面と豊富なエミュレーター対応に加え、手頃な価格帯が魅力のこのモデルですが、実際の使用感はどうなのでしょうか?
「安価な中華エミュ機って本当に使えるの?」と半信半疑の方も多いかもしれません。特にN64やPSPといった高負荷ゲーム機を快適に動かせるかどうかは大きなポイントです。今回は、実際にPowkiddy X55を使って分かったメリット・デメリットや、他モデルとの比較を交えながら、その実力を徹底検証していきます。
「レトロゲームを快適に遊べる携帯機が欲しい!」という方や、「コスパ最強のゲーム機って本当にあるの?」と疑問を抱くゲーマー必見のレビューです。さっそく、その魅力と実力を見ていきましょう。

Powkiddy X55とは?

Powkiddy X55は、中国のゲームデバイスメーカーPowkiddyが開発した携帯型エミュレーター端末です。
レトロゲームを中心に、多数のエミュレータを搭載し、往年の名作タイトルを気軽に楽しむことができるのが特徴です。5.5インチのHD画面を持ち、手頃な価格ながら幅広いゲーム機種に対応しているため、レトロゲームファンを中心に人気を集めています。
この端末は、8ビットから初代PlayStation世代までのレトロゲームをスムーズに動かす性能を持ちつつ、一部の高負荷ゲーム(N64やPSPなど)は動作にやや難がある場合もあります。
多機能ながらも価格がリーズナブルな点が評価され、レトロゲーム専用機としての活躍が期待されています。
デザインと外観

Powkiddy X55は横長デザインの携帯型エミュレーター機で、本体サイズは約212.5×94.5×19mm、重量約293gと大画面ながら携帯性も確保しています。


5.5インチのIPS液晶(1280×720解像度)を搭載し、発色が鮮やかで映像もシャープです。画面はタッチ非対応ですが、ベゼルは比較的細く、大画面でも筐体の無駄な空白感は抑えられています。
本体カラーはブルー(落ち着いたマット調メタリックブルー塗装)とブラックの2種類があります。特にブルーモデルの塗装品質はPowkiddy製品の中でも最高クラスとの評価があり、サラサラしたマット質感で安価なプラスチック感を感じさせません。一方で、ブルー筐体は指紋や油分がやや目立ちやすいという声もあります。


操作面では、左側に方向パッド(十字キー)とアナログスティック、右側にABXYボタンとアナログスティックが配置されています。ボタン配置は一般的なコンソール式レイアウトであり、ゲームプレイ中の操作性は良好です。
性能・スペック

Powkiddy X55の基本スペックは以下の通りです。
項目 | 仕様 |
---|---|
OS | Linuxベース(専用ファームウェア) |
CPU | Rockchip RK3566 (クアッドコア Cortex-A55 @1.8GHz) |
GPU | ARM Mali-G52 |
RAM | 2GB LPDDR4X |
ストレージ | microSDカードスロット×2(システム用、ゲーム用) |
ディスプレイ | 5.5インチ IPS液晶(1280×720) |
バッテリー | 4,000mAh(連続使用約4時間) |
インターフェース | USB-C×2、Mini HDMI、3.5mmジャック、OTG対応 |
重量 | 約293g |
CPUとGPUについて
Powkiddy X55のCPUには、クアッドコアCortex-A55を採用したRockchip RK3566が搭載されています。
このプロセッサは、64ビットアーキテクチャを持ち、最大1.8GHzの動作周波数を誇ります。レトロゲーム機エミュレーションで特に重要となるシングルスレッド性能が向上しているため、PS1や16ビット機のエミュレーションが安定しているのが特長です。
GPUにはARM Mali-G52を採用しており、2Dゲームだけでなく一部の3Dゲームでもなめらかな動作を実現しています。特にPS1世代のタイトルでは、ポリゴン描画やテクスチャ処理も十分にこなすパフォーマンスがありますが、N64やPSPの一部ゲームでは負荷が高く、フレームレートが低下するケースもあります。
ディスプレイについて
Powkiddy X55のディスプレイは5.5インチのIPSパネルを採用しており、解像度は1280×720ピクセルです。
IPSパネルならではの広視野角と鮮やかな色再現が特徴で、ドット感が少なくレトロゲームのドット絵もくっきりと表示されます。
また、720pという高解像度により、PS1やGBAといった比較的新しい世代のゲームも美しく表示可能です。ただし最大輝度が控えめで、屋外でのプレイ時には画面が少し暗く感じる場合があるため、明るい場所での使用には注意が必要です。
プレイできるゲーム一覧

Powkiddy X55は多くのレトロゲーム機をエミュレート可能です。以下は主な対応コンソール一覧です。
- ファミコン(NES)、スーパーファミコン(SNES)
- ゲームボーイ、ゲームボーイカラー、ゲームボーイアドバンス
- メガドライブ(Genesis)、ゲームギア、PCエンジン
- ネオジオ(Arcade)、CPS1/CPS2/CPS3
- プレイステーション(PS1)、ニンテンドウ64(N64)
- プレイステーション・ポータブル(PSP)、ニンテンドーDS(NDS)
これらの機種のうち、PS1以前のゲームはほぼ問題なく動作しますが、N64やPSP、DSの一部タイトルは処理落ちや音ズレが発生する場合があります。
価格とコストパフォーマンス

Powkiddy X55の価格は、国内販売で1万5千円前後が主流です。
Amazonや国内ショップでは安定した価格帯で入手できる一方、海外通販サイト(AliExpressやBanggood)を活用すると1万円台前半で購入できるケースもあります。ただし、海外通販では到着までに時間がかかったり、初期不良対応が難しい点には注意が必要です。
価格面での評価として、Powkiddy X55は同価格帯の中華エミュレーター機の中でも非常にコストパフォーマンスが高いといえます。特に、5.5インチの大型画面やRK3566プロセッサ搭載の点を考慮すると、同価格帯のAnbernic製品やRetroid Pocketシリーズと比較しても優位性があります。
同じRK3566を搭載したAnbernic RG353PやRetroid Pocket 2+は3.5インチ画面であり、よりコンパクトなデザインを持つものの、大画面でのプレイを求めるユーザーにとってはX55が魅力的です。
また2万円以上するRetroid Pocket 3+と比べると、性能面では劣るものの、価格差を考慮するとX55のコスパは非常に高いといえます。
総じて、Powkiddy X55は「安価でレトロゲームを手軽に楽しみたい」というユーザーに最適なモデルであり、コスパを重視するなら十分満足できる選択肢と言えるでしょう。
良い点・悪い点
良い点
- 大画面で鮮やかな発色のIPS液晶
- 価格が安く、コスパが高い
- 多機種対応で幅広いレトロゲームが楽しめる
- 操作性が良好で持ちやすいデザイン
- スリープ機能で中断が容易
悪い点
- N64やPSPの一部タイトルで処理落ちが発生
- L2/R2トリガーのクリック音がやや大きい
- バッテリー駆動時間が短め(約4時間)
- 屋外では画面がやや暗く感じられる
まとめ

Powkiddy X55は、レトロゲームを中心に遊びたいユーザーにとって非常に魅力的な選択肢です。特に、5.5インチのHD画面や直感的な操作性、コスパの良さが光ります。
一方で、N64やPSPといった3D処理が多いゲームでは性能不足を感じる場合もあります。そのため、8ビットからPS1世代を中心に楽しみたい人には非常におすすめです。安価で大画面のレトロゲーム端末を探している方は、ぜひPowkiddy X55を検討してみてください。
